2019.04.01 08:46あとがき [笑う花]この話は1話だけの予定でしたが、何故か続けてしまったものです。現実と非現実の狭間で人間の成長を書いていますが、そんな予定でもありませんでした。ですが、足が生えたかのよう独り歩きしていき今にも至ります。今回はこれで終了ですが、続きを書いてみたくなってきて、いつかまたショウに会える日を心待ちにしててください。
2019.04.01 08:07次の世代に [笑う花 11話]ショウが喋らなくなって2ヶ月、秋の涼しさから寒い北風が吹くようになってきた。ショウの花は茎から出た葉から一輪ずつ開き、今までの成果を俺の見せつけているかのように咲き誇っていた。この花は一体なんだったろうか?何故俺なんかに語りかけたのだろうか。同僚から貰った種は、芽からやがて花までと、その人生を終える。最後の花まで、ショウは喋ることなく散ってしまい、同僚から貰った見覚えのある種だけになってしまった。俺はこれから先も、これを繰り返し、またいつかショウに会えることを願いながら、日々を生活しよう。---- 3年後 ---- 俺は、同僚と結婚して2年が経つ、そして今妻のお腹には自分の子供がすくすくと育っている。あの日々を忘れるわけではないが、ショウが最...
2019.03.21 13:33巡る [笑う花 10話]夏も終わりってしまいもう秋だ、同僚とは何度かデートをして確信に近いものを感じている。俺はそれがとても嬉しいが、喪失感が徐々に心の中で大きくなってくるのがわかった。1つを得ると1つを失う、家に一人で考え事をしていても結局ショウに聞かれてしまう。ショウが居なくなってしまうのは寂しいが、叶わぬことだと懇々と言われては、ただの世間話をするしか出来なくなってしまった。「おい、ヒロシ!私の出番がめっきり減ってしまってるじゃないか」うわ!いきなり話しかけてくるなよ。「そんなことより私はそろそろ花を咲かせる準備をしないといけない」やっぱりそういう時期に入って来ているのか?「そうだな…なんだ?その顔は笑わせるなよ、堪えるのに必死になってしまうだろ?ヤメろ」誰も笑わせるよ...
2019.03.12 14:36底の底 [笑う花 9話]1つの物事が動いてしまうと他のものにも目が向いてしまうことがある。そして意識していないのにそれは勝手に進み、己の決断を前にして全てが終わってしまう。仕事は上手くいってるし、人生の中で一番充実もしている。こんな時に何をして誰と会いたいのか、誰と話をして満たされていくのか、俺は人生でそんな考えや選択肢はなかった。悩んでしまうと、とことん悩んでしまうのが俺だ、しかもタチが悪い。一杯飲んで帰るか。細い路地にはもう寒い風が吹き始めてる、秋めいてきた時の寂しさは特に心にくる。"Bar/alternative"ここの店でゆっくり酒を飲みながら、悩みの底の底を漁るとしよう。バーのマスターと他愛もない話、あまり悩み事を打ち明けないのだが、今日は冗談も入れつつデートの誘い...
2019.01.05 12:25更にあまり良く無い[笑う花 8話]それから一ヶ月経ち、二ヶ月経ち、そろそろ夏も終わりそうになってきた、ショウは肌寒くなって来てから更に元気になっていった、俺は何をしてるんだ?時間は有って無いようなもの。こんな悠長に物事を考えているほど、余裕などは無い。でもそんななか同僚から教えてもらったが、この花は冬の花で寒い時期に花を咲かすという、それと"一年草"だとも教えてくれた。一年草?って一年だけの花?調べてみたらそうみたいだった、種から育てて花が咲けば枯れてしまう植物だ。おいおいおいおいおいおいおい!何回おい!なんでこうなるんだ?同僚今年いっぱいで異動だし、ショウは冬に咲く一年草だ?!なんなんだよ。家に帰るのが少し寂しくなってきたのが、心の中から滲み出てくるのが分かる。まだ暑さが残るのに。そ...
2018.12.15 14:33偶然ではない。適当な言葉が出ない時、皆はどうしているのだろうか?漠然と大きな理の中で、一瞬の会話や大事な局面に決定的なことが言えなくて後悔をしたことがあると思う。でも私はこういう時必要不可欠なことが起きて、運命が進んでいると考えている。何故言えなかったのか、何故思いつかなかったのか?それは、それをまだ言う瞬間ではなかったと。この世界で私は、小さな花になろうとしてる。それが何故ここで、何故この男でどうして今なのかは分からない。私も大きな理の中では上手く言葉が出なくなるが、これは"必然"なのであろう。進むのは己とそれを認知している世界の範囲だけだ。私は後押しをすることは出来るが、想いを叶えられるのは、それを切に願うものだけだ。"笑う花" - 小さな花より
2018.12.15 13:55考えてる[笑う花 7話]今日はずっと考え事をしてる気がする、仕事に影響はないけどそれ以外のこと、心がもやもやするというか、なんと言うか。まだ暑さが残るというのに、俺の心は少し吹き荒ぶっている、寒さだって感じそうなぐらいだ。職場に来るのが楽しみになっていた自分自身が少し嫌になってきた。ショウめ、いらんことを言ってからに。どうしようか、同僚にこのモヤモヤを伝えるべきか?本当はモヤモヤ…じゃないよなこれ。あの日以来互いにタイミング合わなくなり、会話も減って時間が悪戯に進んでいく。デートか…、何年もしてないし、誘い方も忘れた、遊び方だって。大人になると昔のことを直ぐには思い出せなくなる。家に帰るか。「ヒロシ、考え事か?」そうだよ、考えてる。何をとは言わない、大体心が読めるならワザワザ...
2018.12.08 11:39緊張[笑う花 6話]大丈夫、大丈夫!大丈夫…だよな?!意識してしまうと本当にダメ、負けた気分になる。あー、朝起きてまさか真っ先にあいつの事を思い出すなんて、気もそぞろになり集中力なんてあったもんじゃない。準備をしてそろそろ出ないと、それにしても、なんで…どーしたらいいんだ。いやいや早く出ないと!「楽しんでこいよ」うるさいな!そんな余裕ないんだわ!会社に着いて、今日の業務を確認する、発注書やら昨日の案件を再度…「あら?今日は靴下が左右逆ですね?何かありました?」えっ!?「何でそんなに驚くんですか?!毎回ビックリしますよ、もー」いやいや名前呼んでくれないと、誰でもビックリするでしょ?!「そうだ!こんなに驚かせて嫌な思いしたから、お昼奢って下さいよ」へぇぁ?「嫌なんだ」そんなこ...
2018.11.23 06:07恋心かもな [笑う花 5話]最近恋愛なんてトンとしてない。心がときめく事もなくなってきた、仕事も人間関係も良好、もはや問題はないかと思ったが、最初に言っていたが人生に花が欲しい…。今日もショウと話をしていたら、「ヒロシはあの子が気になっているのだろう、心や頭で考えていなくても分かるぞ」えっ?何それ、あの子って誰だよ、しかも。「私をお前に渡したあの子だよ」うん?それはない!そう同僚と言っていた人は同性じゃない、異性だ、女性だ。でも同僚だし仕事仲間だ、恋愛感情は殆ど無かった。「ほらな、殆ど無いって少なからずは好意があるという事だな」心を読むなよ。「何故だ?とてもいい子であろう?遊びに行ってみたりをしないのか?」しないだろ普通、ただの同僚だからな。それとそこまでの心の余裕もない、まだ仕...
2018.11.23 05:11選ばれた? [笑う花 4話]何かが起こってる、でも何がどうなっているのかは分からない。祖先?もしかしておじいちゃんとか?「そんなことではない」心を読むなよ!「そんなことを言われても聴こえてくるから、しょうがないだろう」そ、そうか…。でも理解しようとも出来そうにもない、喋る草が祖先?同僚はやっぱり何か知っているのかもしれない。「残念ながらそれはない、ヒロシの家に来たのは多分偶然だろう」偶然?なんで俺?「それがわからないが、お前の願いを聞き入れることが出来るかもしれない」うん??!!?「それも多分にしておこう、それと祖先というより本当は神様かもしれない、でもそれも言わないでおこう」もう驚くことはやめよう、なんで祖先って言ったのかもわからないし。「私は神だが、植物に宿っただけだから力な...
2018.11.21 12:15現実 [笑う花 3話]朝起きて歯を磨く、顔を洗って、ヒゲ剃って、朝ごはんにパンを食べる。謎の植物に水をあげる、あれ?喋らない?やはり夢だったか。仕事の支度をして、それじゃ行ってらっしゃい、はい、行ってきます。独り身の悲しい独り言だよなーこれ、「早く帰ってこいよヒロシ」やはり血の気が引く。バタン平常心とは日々の自分との対話であろう、それを大きく乱されて、仕事に向かう。何気ないようなことも手が震える、少し動揺して業務が進まない。同僚にあのことを聞こうか…あの葉っぱ…でも、どう聞く?そう考えていると、同僚から声をかけられる。ビクっと波打つ肩が大袈裟だったみたいで、逆に同僚がビックリした。「うわ!なんですか?そんなにビックリしなくても」ごめんごめん、何?「仕事の話じゃないけど、植物...
2018.11.20 13:18名前 [笑う花 2話]それは笑ってる、俺の脳は焦ってる。腕をスッと上げた、おもむろにタイトルの"笑う花"を掴んだ、掴めるものだな。タイトル「おい!話を勝手に変えるな、私はタイトルだ、手を離せ」手が震えるほどタイトルを離さない俺!!!!俺「おい、タイトルを変えろ、笑う花だろ?まだ葉っぱじゃないか?作者も読者もわかることだ、偽りだろ?変えろ!」タイトル「待て、それは無理だ!タイトルは変えれない!往生際の悪いやつ目!」俺「降りてこい!この!」タイトル「やめろ!下の奴が呼んでるぞ!」待て!それは言うな。……。葉っぱ「おい!」俺は恐る恐る下を見た、葉っぱ「変なことしやがって、タイトルとか、俺とか、なんだそれに葉っぱって」再び目を逸らす。葉っぱ「野郎!こっち向け馬鹿!あーわかった、大き...