2018.12.26 12:34日々の暮らしたまに思うことがあるの、今この場所が人生なんだと。時の流れに身を委ねてそれでもいいと思えた時、昔思ってたことや、将来のこと、夢や希望のことをふと考えこんでしまう。この小さな部屋のベッドの上で、眠る前にこんなことを考えて、明日も仕事なのに眠れなくなっちゃう。薄暗い部屋にはカレンダーが毎日を斜線で消していくと何故か心が寂しく感じる。あの日に戻れたらどれほどいいのだろう、小さい頃の記憶はあまり覚えてないけど多分、幸せだったことは確か。それを思い出すと悲しくなるよね。みんなでご飯を食べて、好きなテレビや音楽を流して、うるさかったはずなのに、とても心地よかった。今が寂しいわけじゃないけど、あの時に戻りたい、みんなでまたご飯食べたいな。"サマーナイトブルース" -...
2018.11.17 02:53サマーナイトブルース Last verse.祖父の金庫の前で私は正座をして、彼から貰った紙を再度確認した。数字は私の記憶と一致していたが、一箇所だけ左にダイヤルを回すのが違っていた。私は、震える手を抑えながらダイヤルを握った。左に34右に18と、ゆっくりと正確に感触を確かめながら。ダイヤルを回し終えても、開いたような音はしない。ダイヤルの上の取っ手を握り下げた、その時に[ガチャ]と初めて音をあげた。その中には小さい箪笥のような箱が入っていた。「覚えてる」大きな扉には何も入っていなかったが、下の引き戸を開けたときそこには白い封筒に私の名前が記された手紙があった。中を確認する。ーーーー燈(アカリ)へ。この手紙は、伝えないといけないことをここに書き留めてるからしっかりと見てほしい。まずは、燈のお母さん...
2018.11.11 04:29サマーナイトブルース verse.7私は祖父のお家で、息を押し殺して泣いていた。苦しい思いを他人にもさせていたことにショックだったことも相まっていたのかもしれない。もう実家に戻る日になった、時間はいつでも短い、私は彼に謝りたくなり会いに行った。彼は私に公園に行こうかと誘ってくれた。公園に着くとブランコに腰をかけた、他愛のない会話をすると、私はブランコを止めた。「前はごめんなさい、私謝らずに帰ったら後悔すると思って、だから、本当にごめんなさい。」幼馴染の彼は、「多分今日来てくれるとも思ってたし、謝ってくれなくても良かったんだ、それとアカリにこの番号を教えておくつもりだったんだ」小さい紙には、私には何かってことがすぐに分かった。彼は最後にこう言った、「アカリだけが金庫を開けて、誰にもバレない...
2018.11.04 07:43サマーナイトブルース verse.6その言葉のあとは沈黙だけ、彼は悲しいでもない、苛立ちでもない、そこに何もないかのように俯いてしまった。無感情ではない、今思えば憐れみに近い感覚だったのでしょう。私はその感覚が当時は分からなかった、彼の顔を見てやっぱり何もわかってないと素直に感じた。でも違っていた、彼は私の辛い環境を変えようと考えていたのだと今になればわかる。彼は、こう言った。「なぁ、アカリ。誰も傷ついていないと思うか?俺はアカリの底知れない深い悲しみは分からない。でも。でも、お前の顔を見て悲しくならない人はいない。アカリが落ち込むとみんなが落ち込む。」誰彼構わず、悲し身を振りまいているとは思っていなかったけど、親しい間柄の人は見抜いていた、見抜かれていた。家族、親友と呼べる人、そして幼...
2018.10.31 05:39サマーナイトブルース verse.5開かないままの金庫は、私が祖父の家に出向く際はなるべく触るようしていた。何故かそれが義務のようにそれに躍起になってしまい、祖父の家では金庫の部屋に篭りっきり、母はそれを心配してか私を祖父の家に近づけないようにしていった。 高校を卒業する間近に、おばあちゃんに会うために久しぶりに向かった。そこで幼馴染にも再開しました。祖父の家に行っても金庫に夢中で、彼に会うことも殆どなくなっていたので、久しぶりに彼を見ると少し大人になっていたように感じた。「元気してた?」私はそう聞くと、元気だったよ!お前は?「それは勿論、何も問題ないよ」と返した。彼は「いや、俺はそう思わない。お前のところのおじいちゃんが亡くなって、塞ぎがちで家に篭りっきり。」少し間があり。「...
2018.10.26 12:12サマーナイトブルース verse.4私は初めて人が居なくなる悲しさを知った、学校の友達であったり、部活の先輩、親戚の面白いおじさんとか幼馴染とか。まだ会えると思える人間と、そうじゃない人は違う、そうでしょ?もし生きている人間が宇宙の彼方に旅行できる時代になって、何年も会えなくても、生きていると思えたら何の苦もないはず。安全で健全に暮らせるように。あの時の私はまだ幼くて、心が弱くて、ただただ悲しみの深さから抜け出せなかった。厳密に言うと今も抜け出せていない。祖父が大事にしていた金庫は、親族親戚含め分からなかった。財産という財産は、丁重に扱われ祖父の意向に沿う形で処理された。おじいちゃんはいつもこう言ってた、「金庫は金品以外にも持ち寄れる、じいちゃんの心、頭そのものもあの金庫に入れてある。恥...
2018.10.23 11:05サマーナイトブルース verse.3音を立てずに金庫に近づく私は、赤ちゃんのハイハイをするような形で、宝箱を開ける探検者みたいに目を輝かせた。そっと開いていない金庫に手をかけた、それは簡単に開いた、私たちが遊びでやったそれとは違う、答えが分かり簡単に文字や言葉が出るような感覚に近かった。ゆっくり開けると木のタンスがあり、観音開きの扉をワクワクしながら両手を使い一気に開けた!でも煌びやかな物なんてなく、紙の束に白い封筒下の段にも今思えば手帳と思われるものと、黒い箱。それを持ち上げようとすると、私の両腕を優しく抱えるようにおじいちゃんが一緒に持ち上げてくれた。私の名前を言いながら、これは大事なものなんだよと、そしておじいちゃんが言い加えて、中身はまだ分からないはずだから6年生になったら教えて...
2018.10.20 12:58サマーナイトブルース verse.2この話をする前に私の幼少期の事をみなさんに伝えないといけないかもしれない。それは、寒い日だったのは覚えているの、でもそれが特別な日とかではなかったの確か。幼馴染の男の子がいて、何かと親が知り合いだったこともあり、よく二人で遊んでいた。幼稚園とかのそんな時期も小学生になっても、中学生になっても親しい関係だった。あっと、小さい頃の話を飛ばしてしまったね。私の祖父のお家には大きい金庫があり、よく泥棒ごっこをして開かない扉のダイヤルをグルグル回して遊んでた。それが開くことは決してなかった、何故かって?右に回して左に回してなんかは小さい私たちには到底できないことだったから。でも一度だけこんなことが起きた、まだ元気だった頃のおじいちゃんが金庫のダイヤルをグルグルす...
2018.10.19 12:10サマーナイトブルース夏が終わりゆっくりと秋めいてきた。街の気怠さが、夏の暑さから解き放たれたように少しづつ元気を取り戻していた。その感覚を私は楽しくて仕方がなかった。日差しが強い少し前の話、9月が終わるって言うのにヤケに暑い暑さが日本を覆い尽くして、日本人の気持ちを大幅に削いでいっている。私の溜息には、日頃の疲れとあの事を思い出させてしまい余計憂鬱になる。今日一日もただ何もせず生きてしまった。無性にそう思えるほど疲れてしまったのかもしれない。私は、静かに扉を開けたその先には光が溢れ、何故か強い風が吹いた。暖かいような、でも、熱気じゃない。包まれているように、抱えられてるように。パッと目が覚めた、暗い部屋に明るく光ったデジタル時計は3時を表示していた。まだ暑さが残っていたの...