2019.05.25 11:31耳鳴り嗚呼、このキーンと頭痛を伴う耳鳴り、鬱陶しい。痛みを生み出し、透明な液体の上に赤い雫が落ちるような感覚。ギリっと歯を食いしばり痛みに耐える。空はこんなにも高く雲も少ない快晴で、飛行機が進むと白い筋雲になる。でも、飛行機雲は雨になる時に起こりやすい。そんなことを考えながら蒸し暑い街路樹を悶えながら歩く。最近良いことが起きてない、行きたい学校には落ちたし、好きなあの子に恋人が出来たり、財布を落としたり。嗚呼、イライラする。昔からこの頭痛は悩みの種だった、いつからかはハッキリとは覚えてないけど、急に偏頭痛持ちになってしまった。あの時は確か小学生になる前か、あー、嫌だ、痛い。今日の"コイツ"は、反響してるかのように脳にグワングワンくる。俺は小さいときイジメられ...
2019.05.02 11:13非日常 pt.2 [黒と白 3話]「この野郎ー!!!」誰に言うでもないが隼人は咄嗟に口に出た。車が身体にめり込み、頭がフロントガラスに自然の流れで当たる、痛みが込み上げながらも周りの景色がゆっくり進む。隼人はこれが走馬灯かと悠長なことを考えれるほどある意味冷静であったが、一瞬のはずの痛みが、どこが痛いかなどが何故か分かった。それと同時に闇が身体を包みこみ、痛みが無くなり始め、不思議な多幸感を感じた。口や目などから闇が身体に入り込み、細胞に染み渡る。「なんだこりゃー!?」とまた声が出た。それはこう言うことで発せられたのだが、要約すると身体の隅々まで自分自身の目を通して見えているのだからである。だが自分でもこれは良くないことだとも分かっていた、死ぬか化け物になるか勘付くことが容易に想像出来...
2019.04.13 14:38非日常 [黒と白 2話]階段を一つ飛ばしで降りる、駐輪場は階段下のすぐ横にある。だが降りてくる最中に自転車の鍵を忘れてたことに気づいた。「やべぇやべぇ」声に出る、急いで部屋に戻り鍵を取る。こんな数十秒ですら危機感が込み上げてくるのがわかる。自転車の鍵を外し、全速力でペダルを漕ぐ!ありゃー一体なんだ?それとあのバイク乗ってるやつもなんなんだよ全く!そのまま酔っているのに頭は冴え、酔っているどころじゃない。隼人は一体どこに逃げればいいか考えた、考えてどうこうできる訳じゃないが一旦後ろ振り向く。…するとどうだ?案外ユラユラは速くない、でもよく見ると、何というか波だ。海の白波が海岸に打ち上がるように、一定の間隔で干潟に潮が満ちるような感じで、闇がユラユラと進んでいる。歩いたり走ったり...
2019.02.21 13:23また明日ふぅー仕事ってのは小慣れてくるとまぁ飽きる。人生で仕事してない期間の方が短い。同じ、また同じ、たまに違う、そしてまた同じ。隼人さん、今日は飲みに行かないっすか?ごめん。残念、隼人さんとの飲むと楽しいからまた誘います、また明日!マジか、社交辞令でも嬉しいね全く。うーん、明日って言われても明日は休みだし、飲むか。いやー行けば良かったかもしれんな。---日常とは、圧倒的な普遍と不安定さが天秤の上にある。それが均等か傾いてるかによるが、彼は今回の飲み会を断ったことは、神がまだ彼を失いたくないと言っているかのようだった。- 黒と白 - 気づいた男の末路。
2019.02.21 12:45日常 [黒と白 1話]はぁー、あんまりにもこの日常には飽き飽きする。何かないかな、っと他力本願的にいつも意味もない考えをつらつらと思い浮かべる。仕事ってのは面白いもんじゃない、ただの人生の暇つぶし…どっかで聞き覚えがあるな。また今日が勝手に始まって、勝手に終わっていく、つまんねぇーよ。一年も寒い、暑い、涼しいの繰り返し、たまにはヘンテコな季節があってもいいのに。日本ってのは、忙しいのに暇だ、俺の人生に特段いいことがなかったからそんなことを思ってるのかもしれん。---彼は、そんなことを朝起きてから夜眠るまで考えている。こんな雑多な環境では本来すべきことに目が向かず、金を稼ぎ必死に生きて、暇を潰すだけだ。彼の住んでいる借家はただのアパート、金の節約で遠い職場まで自転車で通ってい...
2019.01.17 14:191つの点無機質な街並みに、暗闇のような影が伸びる。「めんどうだなぁ」男は呟くように愚痴をこぼした。彼の身体にビニールのような、トカゲの皮膚のような黒いスーツが縫い目に合わせて丁寧に折り重なる。そのスーツは服というよりは皮膚だろう、それほどタイトに見える。そんななか先程の影は大きなビルの上から地上に這って、この地域の一部を覆っている。夜数少ない人々に影が身体に纏わりつく、見た目には良いものとは思えない、だが、纏わりついた影に一般の人間には何も感じられず、ただただ影に、闇に飲まれて行く。影に飲まれた土地や空間、人間は向こうの世界に逝ってしまうのだ。ゆっくりだが影の勢力は確実に、人間界を包み込んでいる。「気色悪いことするよな」彼は一体誰に話しかけているのか?彼は黒い...
2019.01.11 14:50禍これは幸せでは無い、それは見ない方がいい。妖怪が好きな貴方は魑魅魍魎を見てはならないと。百鬼夜行もそうであろう。それは災いであり、不幸である。闇が蠢いているが目に見えてない、でも感覚だろうか?確実にそれはそこにある。彼はバイクに乗っていた、バイクに乗り、闇から逃げていた。それは俺もそうなることは分かってた、部屋から着の身着のまま飛び出した。-黒と白- Coming soon