2019.02.04 11:55額の汗なんて暑さだ。ここは真冬の日本だぞ?俺は何故に得体の知れない緊張感を纏ってしまっているのか?この階段はそれこそ一階では、なんの変哲もなかったのに段数を増す度に脚が重くなる。冷たい空間にただのコンクリート、常人ではただのビル。だが俺にはそうとは思えなかった、まさに名前通りの山だ。進めど到達せず、そして身体の重さは増していく。 武者震いは次第に止まり、俺をただの赤子にした。這いつくばってでも絶対に登る!!!!俺はまだ絵の真髄を知らない赤子なのだから。- 山と熱 - 叶 夢之助より
2019.02.03 05:50天命を待つ pt.2 [山と熱 2話]「何故だ!!すぐそこではないか!?」叶はそればかり考えていた、何故たどり着けないのか…。彼はこの灼熱の空間から早く解放されたがっていたが、無情にもそれは時が止まっているかのように進まない。すると階段から人が登ってきた、その人物は叶のことを不思議そうに見ながら、隣の部屋に入っていった。そう、ここは絵画教室以外にも他のテナントがある為、この見えぬ圧力は、叶以外の者には感じられないのだ!!!「この暑さにとんでもないプレッシャーを感じないなんて、もしや部屋に入れないのは、俺の実力不足によるものなのか?!」叶は力を振り絞り教室のドアに手をかける、ッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!???熱い!!そんなバカなと言う表情が読み取れる。止まらぬ汗に、手の震え、熱いの...
2019.01.30 13:20天命を待つ [山と熱 1話]俺は夢を持った高校生、「叶 夢之助(カナウ ユメノスケ)」この名前は俺の信念であり、誇りだ。俺は夢を叶えるべく生まれ、そして天寿を全うしよう。俺は物心がつく頃には、絵を描くことに魅了されひたすらにペンで思いを描き殴り、個性を爆発させてきた。そんな俺が最近行き詰まっていることがあると感じはじめ、ある絵画教室に通うことにした。「くそ、悔しいが新たな学び、新たな仲間たちと新天地にて気を引き締めなければな」そう想いを寄せながら、ここ、「情熱の山岳(じょうねつのさんがく)」に入校させていただくことにした。ここはあの日本では名高い、「底無 新太(ソコナシ アラタ)」先生が講師をしている。この教室の名前の由来は分からないが、パンフレットにはこう記されている。"ここを...