選ばせてやる

「なんで俺だけがこんな目に合わなきゃいけないんだ…」

「お願いだ、助けてくれ」

椅子に後ろ手、足も椅子に繋がれた人間は命乞いをした。

お前に発言権はない、
俺だけがそれの有無を確認する、
だから黙れ。

「そ、そんっっっっっつ!!!いっやあっっっ!!!」

二度は言わない、
喋っていいと言うまで黙れ。

「…」

痛みに耐えながら奴は耐えた、
足の親指はハンマーで割られていた、
痛みよりその恐怖に本能が従っていた。

お前に選択肢を与える、

今ここで死ぬか、
このカバンを持って都会のど真ん中に行くか。

「そんな!?っっっっっっっっっっひぃぃゃゃゃゃゃあぁぁぁぁ!!!」

奴の足の指は少なくとも2つ潰れた。
発言は俺がいいと言うまでするな、3つ目だ。

激しい呼吸音以外は静寂だった。
家族は大切だよな?分かる、俺も自分自身以上に大事だ。

1か2だけをお前に選ばせる、わかるよな?
発言していいぞ。






「1」

雷霆を告げる音

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2コメント

  • 1000 / 1000

  • まるzombie

    2018.11.14 11:59

    こんな究極の選択を迫られるスパイ小説を書いてみたいものです。
  • 七色最中

    2018.11.14 11:58

    人間は常に正しい選択を迫られます。ただし、それが半ば強制的であれば、確かな判断をすることは困難でしょうね。