彼は走る、そこにたどり着くまでに。
まだ寒さが残る春の始まり、
お昼はもう春の日差しとしては申し分ない。
僕は陸上で短距離を練習していた、
春の大会にはとても自信があったが、
学生最後の晴れ舞台にしたかったのは事実である。
でも、大会一週間前に右足に痛みがあった。
その痛みは大きくなかったが、少しの不安が引っかかった。
また、学校で練習を繰り返すんじゃなくて、大会までは休んでと幼馴染に言われた。
人生最後のこの日に、
こんな些細な痛みに構ってられない、休むとタイムが下がるんだよ、と根拠のないことを言った。
僕は走った、その晴れの日を。
でもタイムは良くなかった、痛みは鈍く重いものになっていたのだ。
記録にも目立たなく、将来の希望も多分消えただろう。
心が折れ、涙が止まらず、人生が終わってしまったかのように気力を失った。
でも幼馴染の女の子は、
「大丈夫!これが貴方の全てじゃない。
足を治して一緒に頑張ろう!」と。
うん…。
頑張ってみるよ、僕
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