その言葉のあとは沈黙だけ、
彼は悲しいでもない、苛立ちでもない、
そこに何もないかのように俯いてしまった。
無感情ではない、今思えば憐れみに近い感覚だったのでしょう。
私はその感覚が当時は分からなかった、
彼の顔を見てやっぱり何もわかってないと素直に感じた。
でも違っていた、彼は私の辛い環境を変えようと考えていたのだと今になればわかる。
彼は、こう言った。
「なぁ、アカリ。
誰も傷ついていないと思うか?
俺はアカリの底知れない深い悲しみは分からない。
でも。
でも、お前の顔を見て悲しくならない人はいない。
アカリが落ち込むとみんなが落ち込む。」
誰彼構わず、悲し身を振りまいているとは思っていなかったけど、
親しい間柄の人は見抜いていた、見抜かれていた。
家族、親友と呼べる人、そして幼馴染の彼でさえも。
私は、ここで泣いてしまわぬよう、彼と出会った場所を後にした。
紹介が遅れましたが私の名前はアカリと言います。
幼馴染の彼は、ダイスケ。
あなたに再会できて本当に良かった。
忘れられないことだけど、
忘れれるよう努力しよう。
0コメント