開かないままの金庫は、
私が祖父の家に出向く際はなるべく触るようしていた。
何故かそれが義務のようにそれに躍起になってしまい、
祖父の家では金庫の部屋に篭りっきり、
母はそれを心配してか私を祖父の家に近づけないようにしていった。
高校を卒業する間近に、
おばあちゃんに会うために久しぶりに向かった。
そこで幼馴染にも再開しました。
祖父の家に行っても金庫に夢中で、
彼に会うことも殆どなくなっていたので、
久しぶりに彼を見ると少し大人になっていたように感じた。
「元気してた?」私はそう聞くと、
元気だったよ!お前は?
「それは勿論、何も問題ないよ」と返した。
彼は「いや、俺はそう思わない。
お前のところのおじいちゃんが亡くなって、塞ぎがちで家に篭りっきり。」
少し間があり。
「辛かったら友達だろ?なんで一人で苦しい想いをしてるんだよ?」
「おじいちゃんだってそんなことは望んでないはずだよ」
「金庫は開かないままでも、想いが詰まってるから焦ることないよ、だろ?
逃げることなんてないんだから。」
私はわかってたけど、その言葉に何故か苛立ちを感じた。
「あなたにはわからないよ!私の気持ちを知ったふりして、なに?」
思っていない言葉を何故か彼にぶつけてしまった。
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