はぁー、
あんまりにもこの日常には飽き飽きする。
何かないかな、っと他力本願的にいつも意味もない考えをつらつらと思い浮かべる。
仕事ってのは面白いもんじゃない、
ただの人生の暇つぶし…
どっかで聞き覚えがあるな。
また今日が勝手に始まって、勝手に終わっていく、
つまんねぇーよ。
一年も寒い、暑い、涼しいの繰り返し、
たまにはヘンテコな季節があってもいいのに。
日本ってのは、忙しいのに暇だ、
俺の人生に特段いいことがなかったからそんなことを思ってるのかもしれん。
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彼は、そんなことを朝起きてから夜眠るまで考えている。
こんな雑多な環境では本来すべきことに目が向かず、金を稼ぎ必死に生きて、暇を潰すだけだ。
彼の住んでいる借家はただのアパート、
金の節約で遠い職場まで自転車で通っている。
趣味なんてものは殆どなく、
女っ気も交友、仕事仲間とも関係は希薄だった。
六畳一間、小さい空間ながら自炊、家事までこなしている案外器用な男だ。
そんな彼が明日が休みだからと、
酒を飲んでいた。
酒が足りないからと自転車でコンビニまで向かおと寒い中外に出た。
-佐藤 隼人- 彼の名前だ。
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「うぅー、酒が入ってるからっていっても寒いもんは寒いな。
自転車でも酒気帯び運転になるって聞いたことあるけど、まぁ大丈夫だろ。」
買い出しは何故かワクワクした、
酒を飲み悪いことをしているみたいで、それと気持ちが高揚しているのも事実だ。
なんでも出来るんじゃないかとさえ思うのだから酒は怖い。
家に着いて、テーブルに買ってきたものを並べ再度飲み直す。
寒いのは知ってるが窓を開けて、
外を見ながら物思いにでもふけるかな。
遠くから、暗い路地を「ドドド」と音がする。
おいおいまさかバイクか?うるせぇー音出しやがる。
そのバイクは進んでは止まりを繰り返し、
大きなエンジン音が近づいてくる。
「全くなんだこいつ?暴走族か?通報しとくか」
すると、隼人のアパートの前にバイクが止まった。
「野郎、なんなんだ?」
バイクの男は、後ろを確認している。
「あん?仲間でもいるのか?」
目を凝らして車道の奥を見る、
何もない、が、違和感だ。
な、な、なんだよ…
怖いやつじゃないよな…
それはユラユラとゆっくりと空間を進んでいた、
それは闇だ。
「うん?…待て待てなんだ?なんか動いてないか…」
そこに大きな声が耳に入る。
「あんた!アレが見えるのか?」
ビクっと、肩が上がった。
隼人はバイクの男に喋りかけられていることに気づいた。
「え?!なんかあるのか!」
バイクの男は言う。
「外に出て"アレ"から逃げろ!」
それは突然の恐怖、
日常に飽き飽きしていた男の報いなのだろうか。
隼人は電気も消さず着の身着のまま自転車ある場所まで走った。
続く。
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