天命を待つ pt.2 [山と熱 2話]

「何故だ!!すぐそこではないか!?」

叶はそればかり考えていた、何故たどり着けないのか…。

彼はこの灼熱の空間から早く解放されたがっていたが、

無情にもそれは時が止まっているかのように進まない。


すると階段から人が登ってきた、

その人物は叶のことを不思議そうに見ながら、隣の部屋に入っていった。

そう、ここは絵画教室以外にも他のテナントがある為、

この見えぬ圧力は、叶以外の者には感じられないのだ!!!


「この暑さにとんでもないプレッシャーを感じないなんて、

もしや部屋に入れないのは、俺の実力不足によるものなのか?!」


叶は力を振り絞り教室のドアに手をかける、

ッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!???

熱い!!そんなバカなと言う表情が読み取れる。

止まらぬ汗に、手の震え、熱いのに寒さすら感じるほど、

叶の情緒は不安定だった。


「フフ」


?!

叶!何がおかしいと言うのか、

もしや本当に気でも触れてしまったのか?!

手の震えがピタッと止まる。


「失礼します」


叶は掌が火傷することも厭わず、

ゆっくりとドアを開けた。


その先にどんな光景が広がっているというのか、

ここまでの攻防を見せられては期待値も上がる!が、

否!それはなんの変哲も無い、ただの部屋。


「まさか…そんな、なんだったんだ?

あのプレッシャーが全く感じられないというのか?!」


叶よ! -情熱の山岳- の恐ろしさはまだ始まってもいないのだ!

「底無 新太」の情熱をまだ知る由もないのだから。





続く…。


雷霆を告げる音

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