「何故だ!!すぐそこではないか!?」
叶はそればかり考えていた、何故たどり着けないのか…。
彼はこの灼熱の空間から早く解放されたがっていたが、
無情にもそれは時が止まっているかのように進まない。
すると階段から人が登ってきた、
その人物は叶のことを不思議そうに見ながら、隣の部屋に入っていった。
そう、ここは絵画教室以外にも他のテナントがある為、
この見えぬ圧力は、叶以外の者には感じられないのだ!!!
「この暑さにとんでもないプレッシャーを感じないなんて、
もしや部屋に入れないのは、俺の実力不足によるものなのか?!」
叶は力を振り絞り教室のドアに手をかける、
ッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!???
熱い!!そんなバカなと言う表情が読み取れる。
止まらぬ汗に、手の震え、熱いのに寒さすら感じるほど、
叶の情緒は不安定だった。
「フフ」
?!
叶!何がおかしいと言うのか、
もしや本当に気でも触れてしまったのか?!
手の震えがピタッと止まる。
「失礼します」
叶は掌が火傷することも厭わず、
ゆっくりとドアを開けた。
その先にどんな光景が広がっているというのか、
ここまでの攻防を見せられては期待値も上がる!が、
否!それはなんの変哲も無い、ただの部屋。
「まさか…そんな、なんだったんだ?
あのプレッシャーが全く感じられないというのか?!」
叶よ! -情熱の山岳- の恐ろしさはまだ始まってもいないのだ!
「底無 新太」の情熱をまだ知る由もないのだから。
続く…。
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