サマーナイトブルース verse.4

私は初めて人が居なくなる悲しさを知った、
学校の友達であったり、部活の先輩、親戚の面白いおじさんとか幼馴染とか。
まだ会えると思える人間と、そうじゃない人は違う、そうでしょ?

もし生きている人間が宇宙の彼方に旅行できる時代になって、何年も会えなくても、
生きていると思えたら何の苦もないはず。

安全で健全に暮らせるように。

あの時の私はまだ幼くて、心が弱くて、
ただただ悲しみの深さから抜け出せなかった。
厳密に言うと今も抜け出せていない。

祖父が大事にしていた金庫は、
親族親戚含め分からなかった。
財産という財産は、丁重に扱われ祖父の意向に沿う形で処理された。

おじいちゃんはいつもこう言ってた、
「金庫は金品以外にも持ち寄れる、
じいちゃんの心、頭そのものもあの金庫に入れてある。
恥ずかしいから、じいちゃんが大事になっても教えてあげないよ」

私はいつもおじいちゃんの金庫を開けようと、教えてもらった筈の番号をグルグル、グルグル回してた。
開かないたびに、おじいちゃんはまだ恥ずかしがってると思って諦めてたけど、
本当に諦められる?
そんなこと出来る?出来たら、こんなに苦しくないよ。

あの日おじいちゃんが教えてくれて、一緒に開けた金庫には白い封筒があったの覚えてる。
これはお前が大きくなったら見せてあげると言ったじゃない。

お願い開いてよ。
意地悪しないで…お願い、お願いだから。

雷霆を告げる音

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